なぜなぜ分析とは?
「なぜなぜ分析」とは、「なぜ」を繰り返しながら、問題を引き起こしている事象の要因を、思いつきで挙げていくのではなく、論理的に漏れなく出しながら、狙いとする再発防止策を導き出す方法のことを言います。まるで、子供が親に「なぜ?」「なぜ?」としつこく問うように、「なぜ」を繰り返していく形で、発生原因を掘り下げていきます。現在では、売れる要因や消費者からの問い合わせの深堀など、トラブルの原因追究以外にも多く使われるようになりました。
この手法は、ブレーン・ストーミングのように皆で意見を出し合い、関連のある事柄を結び付けていくQC七つ道具の特性要因図や新QC七つ道具の連関図とは違い、狙いに沿って論理的に一つひとつ掘り下げていく手法です。
普段から私たちは、論理的にモノゴトを考えているようで実際は論理的に考えていません。管理職も含め日常の仕事のほとんどは、経験や知識との照らし合わせの上で行われているからです。
ほとんどの人がいざ「なぜ」を繰り返そうとすると、なかなか的確な「なぜ」を出すことができません。
当社では、的確な「なぜ」を引き出すにはどうしたらよいか、という単純な問いについて、長年多くの企業での実践指導を通じて研究し、現在まで続けてきました。
近年の成果は、2009年3月に発刊した「なぜなぜ分析10則」(小倉仁志著、日科技連刊)にまとめました。1997年に発刊した「なぜなぜ分析徹底活用術」(小倉仁志著、JIPMソリューション刊)と上述の書により、設備に関するトラブルから人為ミス(ヒューマン・エラー)まで幅広く対応できる「なぜなぜ分析」の定石がまとまりました。
2020年度の言葉
失敗の原因追究に管理職も入って、自ら改善策を出す |
皆さんは、失敗を当事者だけに関わる問題で済ましてはいないだろうか。
失敗に至ったいきさつをはっきりさせて、なぜ失敗が発生したのか掘り下げていくと、ほとんどの失敗は当事者の関わる問題だけでなく、業務全体あるいは管理職の関わる問題もあることに気づく。
失敗というのは、会社や職場の脆弱な部分が、たまたま形になって表れてきたに過ぎない。
優れた管理職ほど、部下の失敗を見て、自らが関わる問題にも気づき、すみやかに改めていく。
管理職が自ら関わる問題に気づかず、失敗した当事者や関係者を攻めるのは論外である。
次回失敗しないためにはどうしたらよいか、管理職と当事者が一体になって、全員分の改善策を出すつもりで原因追究を進めることが大切だ。
コロナ禍により新たな取り組みが始まった職場や企業も少なくない。新たな取り組みの中での失敗であればなおさら、失敗の当事者と管理職が一緒に考えていく。
いち早く業務全体を変えていけるかどうかが、企業の生き残りの成否のカギを握ることはいうまでもない。
2020年8月12日 小倉 仁志